国立病院看護研究学会
理事長 飯野京子
国立病院看護研究学会は、設立20年目を迎えます。設立当初は、国立病院機構、国立高度専門医療研究センター、国立ハンセン病療養所のすべての看護職員が会員となり、国立病院系の看護学会として組織的な運営を行い、政策医療の発展に寄与する活動を行ってまいりました。現在の会員のあり様は、自主的な入会となり、会員各自の研究成果が学術集会で発表され、多くの参加者とディスカッションが行われるなど、個人単位の活動へと様相が変わってきました。3つの国立病院系の組織は、このような個人の研究活動を全面的に支援していくという役割・位置づけに変遷してきております。 本学会の事業内容としては、学術集会の開催のみでなく、年一回の学会誌の発刊、看護の質を向上するための教育講演の開催、医療・看護界の動向を情報発信するなど、多くの会員の皆様にとりまして参考になる活動を工夫しているところです。しかし、看護研究を実施し、社会に発表していくことは口で言うよりも簡単ではありません。個人の意志の強さだけでは良い看護研究にはつながらないこともあり、会員相互のコミュニティを巻き込み、お互い支援し、刺激し合う学会活動が大切だと思っております。
この学会活動が私たちの看護の本質的な機能を向上させるためのものであってほしいと願っております。看護の対象者が自分の健康に関してどのようなことを問題にしているのか、またそれをどうしたいと考えているのかということに私たちが関心を持つ必要があります。その上で、どのように支援していくかを考え、その支援が専門的なものになるように、本学会は研究的視点で看護実践の改善と質を高めていく取り組みを大切にしていきたいと考えています。
最後になりますが、国立病院看護研究学会を更に発展させ、政策医療における看護の質の向上と看護学の発展に寄与して参りたいと存じます。
2024年12月